シリーズ 「女性理学療法士と学術活動」 No.3  

シリーズ 「女性理学療法士と学術活動」 No.3  

「女性理学療法士と学術活動」No.3 2017  

 女性理学療法士の学術活動にスポットを当ててインタビューをするこの企画ですが、今回は、養成校の教員ではなく、現在も積極的に臨床をされている女性理学療法士にインタビューを行いました。独立行政法人国立病院機構広島西医療センターの花岡匡子さんにお話を聞きました。花岡さんは、青年海外協力隊に参加もされ、現在は広島大学の大学院にも通っておられます。多彩な経験についてのインタビューを紹介したいと思います。

「まずは、理学療法士になったきっかけ について、お聞かせください」

 

 中学生のとき、老人ホームに見学に行ったことがありました。そのときに、高齢者と一緒に歩いている人をみたことがあります。高校生になってから、自分がなりたい職業について調べるときに、その老人ホームの人たちはどんな仕事なのかなと調べてみると、理学療法士という仕事があるのを知りました。大学に入学して広島を離れて、卒業が決まり、就職のときに、また広島に戻り、今の職場に就職することになりました。

 はじめは総合病院のようなところで、いろいろな疾患を見ることができればと思っていました。脳性麻痺や筋ジストロフィーの患者さんを見る機会が多かったですね。国立病院機構の系列で研究会があり、そこで筋ジストロフィーの疾患をまとめて発表しましたが、そのような症例をみる経験がたくさんできました。

「では、青年海外協力隊の経験 についてお話を聞かせてください」

 3年くらいして、家と病院の往復のような生活になっていることなと思いました。仕事は楽しいからそれでよかったのですが、もっと、外の世界を見たいという気持ちになりました。そんなとき、電車の吊り広告で“青年海外協力隊募集”とありました。たまたま募集説明会があったので、そこに行ってみたんですね。そうしたら、すごく興味がわいてきたんです。締め切りまで半年あり、ずっと考えてみたのですが行かないと後悔するなと思い、決断しました。

 行く先はエクアドルでした。公用語はスペイン語で、事前に言語の研修がありました。日本とのかかわりではフィリピンの次にバナナを輸入しているところです。あとは、サッカーが強い国ということと、ガラパゴス諸島のあるところですね。そこにPTとして派遣されました。日本での仕事も小児だったこともあり、ここでも小児の施設を希望しました。配属先は小児の発達外来も行っているリハビリテーションセンターに決まりました。

 理学療法の手技は、ボバースとかボイタとかを積極的に行うのではなく、小児の施設でしたが、発達に沿った運動療法を行うような感じでした。電動車いすや人工呼吸器といったものはなかったので、機器などの技術的な面は日本とは違うところがあると思います。勉強会とか研修会みたいなものもあるようでしたが、100ドルくらいかかるそうなので、現地の経済からいうとかなり高価ですね。勉強する気のある人は国外、特に欧州に行ってました。他国の支援とか援助を受けた人だけが参加できるのですが、1か月くらいは研修を受けているようです。国外の研修だと、NGOが支援してくれるので、無償になるところもあるんじゃないでしょうか。そういった意味では、まだ、他国からいろいろ学んでいる段階のように思います。

「次に大学院について、お話を聞かせてください」

 エクアドルから帰国するのが近づいてきましたが、もっと勉強したいなという気持ちはありました。だからか、大学院のこともそのころから考えていました。小児の分野でずっと仕事をしていたので、やっぱりそれについて勉強をしたいと思っていました。近くの大学院に小児分野を専門にしている研究室はないみたいだったので、なければ仕方ないなと思っていました。

 帰国してしばらくして、広島大学からJICA(独立行政法人 国際協力機構)経由で、今回の協力隊の話を大学生にしてほしいという依頼がありました。それは看護学科で、国際医療を専門としている大学の先生でした。その先生の研究室では公衆衛生とか、ヘルスツーリズムとか予防医学とか、そういったことをテーマとしています。予防医学には興味があって、今までも、この人はなんで病気になったのだろう、もっと前に何か対応できなかったのだろうか…ということを考えることもありました。そこで、その先生に話を聞いたところ、看護師だけではなく、それ以外にもいろいろな学生を研究室に入れていると言われました。いわゆる理学療法士とは違った視点かもしれませんが、いろいろな分野の勉強をしてみるのもいいかなと思い、そこの研究室に入りました。帰国して仕事に復帰してから、小児ばかりではなく、成人も担当することがありました。そこで、予防医学をベースとして学ぶのもいいのではないかと思いました。

 

「具体的に研究テーマについておきかせください」

 森林セラピー、いわゆる森林浴ですね。森林浴はセラピーロードの認定をされている森で五感を使って楽しむ、という感じでしょうか。風、音、におい、色などですね。それを医学的に解釈するという感じですね。免疫への影響やバイタルサインが落ち着くことや、いろいろな方法で研究がされています。まあ、これだけでは理学療法士として関われないので、重心動揺計を使ったり、ファンクショナルリーチを測定したりしました。どんな結果が出るか、発表できるものになるかどうか、心配です(笑)。

 

「最後に学術的なことも含めて、理学療法士として、今後どんなふうに活動していきたいかということをお願いします。」

 そうですね。もっといろんな経験をしてみたいなと思います。そして、もっと他の病院も見てみたいなと思います。エクアドルの経験は自分の中で活かされていると思います。大学院は今年度で終わりますので、経験したことと合わせて、これからも興味のもてる分野を見つけて、もっと学んでいきたいと思います。

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