学術活動Question! 「個人情報保護指針を遵守できているというのは、どのような状況ですか。」

学術活動Question! 「個人情報保護指針を遵守できているというのは、どのような状況ですか。」

「個人情報保護指針を遵守できているというのは、どのような状況ですか。」

 

みなさんよくご存じの「個人情報」。この言葉を耳にしない日は少なくないのではないでしょうか。

個人情報とは、単純に氏名・生年月日その他から特定の個人を識別できる、あるいは識別可能性を著しく高める情報ということはよくご存じかと思います。単体では個人を特定できなくても、他の情報と照合することによって個人を特定できる情報も個人情報に含まれます。

 

学会発表や論文投稿の際には、「個人情報保護指針を遵守した。」というような文言はよく見られることと思います。

当会でも個人情報保護指針を開示し、これを「広島県理学療法士学会」での発表や「理学療法の臨床と研究」論文作成時には遵守いただくよう規定されています。

 

公益社団法人 広島県理学療法士会 

「論文および学会・研究会・検討会等での発表における患者プライバシー保護に関する規程」

http://hpta.or.jp/modules/public_top/images/about/privacy.pdf

 

よく学術活動で使用する個人情報として

〇年齢

〇入退院日 

〇顔写真

〇患者ID

などなど

これらの扱いには、注意が必要です。

 

上記規定では、

・年齢に ついては、検討上必要がある場合を除き、大まかな記載にとどめる(70 歳代後半など)。

・経過についても具体的な日付は入れず、「発症後(術後)○週」などと記 載する。

などを規定しております。

 

〜 匿名化だけで個人情報は保護できる? 〜

頭文字・アルファベット等で略語化した情報も、個人を特定することが可能な限り、個人情報です!

 学術雑誌への掲載や学会発表などでは、氏名・生年月日などを消去したり、当会規定のように何歳代といった大まかな記載に変更したり、顔写真の目の部分にマスキングする等で、匿名化が図られることがあります。しかし、A病院のスタッフが何年何月に入院した△歳代の診断名〇〇 といった男性の症例報告を行えば、仮に匿名で患者Bとしても限定できる可能性が高くなります。この場合は個人情報を守っていることにはなりませんので事前に発表に関する同意を得ていることが必要です。

 

〜 顔写真のマスキング処理も要注意! 〜

マスキング写真の扱いにも注意が必要です。

 顔写真のマスキングは、Power point等のパソコンソフトで簡単に行えます。しかし、ここに落とし穴があります。Power point でアイマスク等の処理を行ってできたスライドをPDF化することなどはよくあることかと思います。実はこの処理だけではアイマスクがない元画像だけ取り出すことは可能!です。この場合、個人情報保護はできていません。Power point で作成した図は、いったん「図として保存」を行い、顔写真にアイマスクがされたものを一つの画像に抽出して掲載しなおす作業が必要です。

また、いくら加工しても発表者は所属機関名と発表者実名で公表するので、研究対象者本人が見たら自分のことだと分かる場合があります。原則的に、写真を含めデータ等を症例報告や研究発表に使用することについては事前に同意を取ることが必要!です。

 

具体的に個人情報保護を遵守する方法とはどういった方法があるのでしょうか。

 

「連結可能匿名化と連結不可能匿名化」の二つが代表的です。

どちらの方法を採用するかは、研究の目的と方法、匿名化に要するコストや労力などを考えて選択する必要があります。

 

「連結可能匿名化」

必要な場合に該当者を識別できます。

個人情報に符号や番号を付し、その対応表を残す方法を用いた匿名化手続きのことです。

連結可能匿名化の対応表は、厳重に管理する必要があります。データ自体が連結可能であっても、匿名化した情報と、個人を連結する対応表を、共同研究先など別の研究機関において保管する場合もあります。

 

「連結不可能匿名化」

対応表を処分する匿名化手続きのことをいいます。

連結不可能匿名化手続きを取るということは、個人情報が誰のものか照合あるいは推測することができなくなるということです。連結不可能匿名化した情報は個人情報として扱われません。

 

〜 研究対象者の権利の遵守はなされていますか 〜

原則的に、研究対象者(または代諾者)には、研究対象者本人の個人情報に関する次のような権利があります。

 

〇 個人情報の取り扱いに関する十分な説明を受けること

〇 保管されている個人情報の内容を知ること

〇 個人情報の利用目的を知ること同意なく利用目的を変更されないこと

〇 原則として、どの時点でも個人情報の利用の停止や破棄を求めることができること

〇 同意なく第三者へ提供されないこと

〇 上記の事柄に関わる苦情に対して、適切な対応を受けること

これらを提示したうえで同意を得る必要があります。

 

守秘義務は、研究に携わるすべての人が有しています。

知りえた研究対象者の個人情報を守ることは義務です。

正当な理由なく個人情報を漏らせば、刑法や行政法上の罰則がなくても、民事の損害賠償責任を負ったり、研究機関内での懲戒処分が課されたりする可能性があります。

情報漏洩やデータの紛失が懸念される場合は、速やかに研究機関及び研究責任者に報告しなければなりません。

日々の業務でも重要なことですので、研究活動に限らず日々しっかりと認識した対応を行っていきましょう。

 

 

注)上記記載に関しては、わかりやすい表現になるように、簡素に記載している部分があります。この記事の記載をベースに、研究計画と実施、日々の臨床にお役立てください。

 

文:学術局 崎元直樹 高橋真 石田勝

 

 

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