新人理学療法士のためのがんのリハビリテーション

新人理学療法士のためのがんのリハビリテーション

日本の死因第1位は悪性新生物です(図1)。また、国民の二人に一人ががんになる時代と言われています。その一方で、がん治療の進歩とともに大幅に生存率は向上しています。2015年にはがん生存者は、500万人を超えると予測されています。
つまり、世の中は「がん=死」からがんとともに活きる時代に変わりつつあります。そのため、新人理学療法士でもがん患者を担当することもあると思います。
本稿ではがんのリハビリテーション(以下、がんリハ)で知っておく知識について簡単に概説します。

 

がんリハは患者さんの残っている能力を維持・向上させ、今までと変わらない生活を取り戻すことを支援することによって、患者さんのQOLを大切にしようとする考え方に基づいて行われる医療ケアです。がんの治療と並行して、がんそのものによる痛みや食欲低下、息苦しさ、だるさなどの症状、手術や化学療法、放射線療法によって身体機能が落ちたり、損なわれたりすることに対してがんリハを行います(表1)。

予防的、回復的、維持的、および緩和的リハビリの4つの段階があります(図2)。

予防的リハビリ

周術期では術後合併症を予防し、速やかな回復を目指します。そのためには術前から患者に術後の身体の状況やその対応方法について説明をしておきます。特に高齢で虚弱な患者、術前から体力低下を認める患者、侵襲の大きい手術を予定している患者は術前から関わることが大切です。術後は全身状態を確認しながら、離床を進めていきます。

回復期リハビリ

化学療法の目的は治癒、生存期間の延長、症状改善に分かれます。治療の副作用(吐気、食欲低下、口内炎、倦怠感、不眠など)によって、体力低下を引き起こします。副作用を確認しながら、可能な範囲で体動を促していきます。運動療法ではウオーキングや自転車エルゴメーターを使った有酸素運動を最大心拍数の60〜80%の強度で20〜30分間の運動を週3〜5日行うのが理想的です。ただし、重篤な副作用が起こった場合は理学療法の内容を変更したり、中止します。

維持的リハビリ

放射線治療の目的は治癒、症状改善に分かれます。放射線治療の副作用には照射期間中もしくは照射直後に起こる急性反応と治療後、数ヶ月以上経って起こる晩期反応があります。晩期反応は治療する部位によって、脳壊死、唾液腺障害、開口障害、病的骨折、肺線維症や放射線性肺炎、放射線性直腸炎、放射線性膀胱炎、不妊、リンパ浮腫などが起こることがあります。晩期反応は不可逆性なので、対症療法やリハビリテーションを行います。
骨転移は脊椎、骨盤や大腿骨、上腕骨近位部に好発し、初発症状として罹患部位の疼痛を生じます。理学療法を開始する前に全身の骨転移の有無、病的骨折や神経障害のリスクを確認しておきます。補装具の適応評価とともに、疼痛の軽減や病的骨折を避けるための基本動作・歩行訓練(松葉杖や歩行器を使用した免荷歩行の指導を行います)およびADL 練習を行います。

緩和的リハビリ

緩和ケアの場合は安楽な姿勢の提案、呼吸苦の軽減(排痰の指導や援助)、ADLへの介入(ベッド周囲の環境調整、補装具の調整、介助方法の提案など)、可能な範囲での運動や離床を患者の状態を評価し、行います。また、不安、無力感、苦悩を抱え、抑うつ症状を呈する場合も多いので、心理面へ配慮しながら関わります。

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