がんの実状とリハビリテーションの「今」

がんの実状とリハビリテーションの「今」

がんの実状とリハビリテーションの「今」

国民の2人に1人ががんになると言われ、がんは日本人の死因1位になっています。

平成26年度の内閣府による世論調査によると、“がんに対してどのような印象を持っているか”と尋ねたところ、「こわいと思う」人の割合は、おおよそ4人に3人となっています。その理由は、1位「がんで死に至る場合があるから」72.9%、2位「がんそのものや治療により、痛みなどの症状が出る場合があるから」53.9%となっています。「がん=死、痛い」のイメージが強いことが分かります。

その一方で、がん治療の進歩とともに大幅に生存率は向上しています。近年では、5年生存率は50%を超えるようになり、がん生存者は3百万人を超えています。

つまり、世の中は「がん=死」から「がんとともに活きる」時代に変わりつつあります。しかし、がんの治療の中には身体への負担が大きいものも多く、その治療を続けながら、体力の低下した身体(身体の不自由が残った状態)で生活していくことは簡単なことではありません。そんな中、がんの治療と並行して体力を回復したり、日常生活をできるようにリハビリテーション(以下、リハビリ)を行うニーズが高まりつつあります。

がんのリハビリテーションの目的とは?

がんのリハビリは、患者さんの残っている能力を維持・向上させ、今までと変わらない生活を取り戻すことを支援することによって、患者さんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を大切にしようとする考え方に基づいて行われる医療ケアです。がんの治療と並行して、がんそのものによる痛みや食欲低下、息苦しさ、だるさなどの症状、手術や化学療法、放射線治療よって身体機能が落ちたり、損なわれたりすることに対してリハビリを行います(資料1)。

がんのリハビリは治療を担当する医師や看護師、そしてリハビリ医、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)、医療ソーシャルワーカー、臨床心理士などがチームとなり、カンファレンスなどを通じて十分にコミュニケーションを図り、リハビリの治療計画を共有しつつ行われます(資料2)。

がんのリハビリの内容は?

大きく分けると

1.手術前・後(周術期)のリハビリ

2.化学療法・放射線治療のリハビリ

3.緩和的リハビリ

の3つになります。

1.手術前・手術後

痛みがあったり、体動が難しい中で早期離床をすることの必要性、効果、やり方を説明します。呼吸訓練や排痰(痰を出す)の方法も事前に練習します。手術後のリハビリは合併症を予防し後遺症を最小限に抑えて、回復を図ることを目的に行います。

2.化学療法・放射線治療のリハビリ

リハビリでは体力低下を予防・回復していくような運動を行っていきます。例えば、ウォーキング、エアロバイク、ストレッチなどの有酸素運動を最大心拍数の60−80%の強度(楽に運動ができて呼吸も乱れず、少し汗をかく程度)で20分から30分間の運動を週3回から5回行います

3.緩和的リハビリ

筋肉の萎縮・低下を防ぐために行う運動や動きやすい環境(起き上がりやすいベッド、手すり、車いす、歩行補助具など)を患者と一緒に調整していきます。また、呼吸困難の症状がある場合には呼吸がしやすい姿勢をとったり、痰が出しやすいように介助を行うこともあります。

※がんの種類や手術の方法によってリハビリ内容や運動方法が異なりますので、詳細は主治医や理学療法士などのリハビリ専門職にお尋ねください。

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