INTERVIEWー理学療法士と生涯学習ー

INTERVIEWー理学療法士と生涯学習ー

理学療法士と生涯学習

公益社団法人 広島県理学療法士会 教育局長
島田 昇(広島大学病院)

理学療法士の生涯学習制度が目指すものは何ですか

患者さんに質の高い理学療法を提供していく上で、卒前教育で学んだ知識を、卒後教育を通してさらに拡げていく必要があります。生涯学習を通して、各理学療法士の提供する理学療法の質が高まることで広島県民の生活の質の向上に貢献したいと思っています。

また、職能団体である日本理学療法士協会としては、生涯学習の中で、認定理学療法士や専門理学療法士という資格を設けることで、団体としての質を高めるとともに、他団体に対して理学療法士としての存在価値や社会的な立場を確立したいという狙いもあります。生涯学習を通して、将来的には認定看護師・専門看護師のように診療報酬制度にも反映され、病院の看板となるような存在になれればいいですね。

広島県の生涯学習の現状について教えてください

広島県全体での新人教育プログラム(以下、新プロ)修了率は全国平均と大きく変わりません。もう少し詳細に、入会年度毎に分析すると、入会から5年以上経過した会員の新プロ修了率の平均は70〜80%です。一方、入会から3年以内の会員では修了率は約30%となっています。

5年以上経過し新プロ未修了の会員の中には、地域性や様々な事情で参加が難しい人もいると思います。その中で、新プロを修了したい気持ちがある方々は、自宅で受講できるeラーニング等を活用して、生涯学習を進めてほしいと思います。また、認定・専門理学療法士の取得割合も新プロ修了率同様に全国平均と変わりません。近年は、認定理学療法士の取得者が右肩上がりに増加していますので、これからどんどん活躍して欲しいですね。

広島県理学療法士会としての生涯教育への取り組みを教えてください

職能団体として、理学療法士の質を向上させる社会的責任がありますので、新プロ修了率をさらに高めていく必要があります。特に、先ほどデータを示した通り、入会から3年以内の会員の新プロ修了をきっちりとサポートしていく必要があると思います。そのための取り組みとして、最短1年で修了できるように研修会を企画し、新プロ修了までのフローチャートを作って当会のホームページに掲載しています。特に新人は、自分から情報を得るのが難しいこともあると思うので、丁寧に情報を発信して、生涯学習に取り組みやすい環境を作るように努めています。 さらに、当会としてのもうひとつの役割は、『頑張りたいと思う人が頑張れる環境を作ることと、頑張りたいと思える人が少しでも増えるような努力をすること』だと思っています。具体的には、すでに認定・専門理学療法士を取得している会員の活躍の場を作るとことだと思います。研修会の講師や学会の座長・査読もそのひとつの例です。その他の工夫として、例えば運動器の認定・専門理学療法士を取得した会員が集まる機会を作り、1.その分野における現状の課題を整理する、2.課題を解決するための取り組みを検討する、3.得られた成果を学会や論文として見える形で発表する等、当会の活動が、専門家同士の関係づくりの場になれればいいと思っています。最終的には、政策提言を通して診療報酬制度にも反映できるような成果を広島から発信していくこと。ここまでできれば、若い会員も「ああ、こんな風に頑張ってみたい」と思ってくれるかなと思います。私自身も含め、現状は、認定理学療法士や専門理学療法士を取得することがゴールとなってしまっている気がしますね。

生涯学習を始めたばかりの若い会員に期待することはありますか

『自分らしく生きる。その「一歩」をサポートします。』これは当会のキャッチコピーです。生涯教育を通じて自分の理学療法の質が向上することで、患者さんが喜んでくれることを実感できるようになるといいですね。その感動を経験することができ、経験した人が将来的に後輩や部下にもきちんとした形で伝えられると若い会員も学習意欲が湧くのではないかと思います。私が勤務している広島大学病院の場合は、新人が入職すると必ず日本理学療法士協会に入会したかどうかを確認し、新プロがきちんと終わるようにサポートする雰囲気があります。頑張りたいと思っている若い会員のキャリア形成を後押しするために、職場の理解は重要だと思います。 私自身も、専門と認定理学療法士 (運動器)の取得者として患者さんの笑顔に繋げられるよう精進していきたいです。

インタビュアー:公益社団法人 広島県理学療法士会
会員情報部長 猪村 剛史

(この記事はHPTA NEWS One Step254 に掲載されました)

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